天地人

 遅ればせながら、明けましておめでとうございます。
しっかり正月休みを取ってしまいましたが、今日からまた再開しますので、よろしくお願いいたします。

 NHK大河ドラマ天地人」の第一回を観ました。高視聴率だったそうですが、なかなか内容も良かったですね。上杉輝虎(謙信)役の阿部寛も、最初は心配だったのですが、執着心が強くマニアックそうな性格が、私の持っている謙信のイメージに似ていたので好印象でした。あとはまだ本格的に出ていない、妻夫木くん次第でしょうか。私の家には録画機能のある機器が無いので、一年間欠かさずに観るのは大変ですが、今回は頑張ってみようかと思います。


「『利』を求める戦国時代において、『愛』を信じた兼続の生き様は、弱者を切り捨て、利益追求に邁進する現代人に鮮烈な印象を与えます。大河ドラマは、失われつつある「日本人の義と愛」を描き出します!」


 ナレーションでも流れていた、番組の宣伝文句がこれです。褒めた途端に「突っ込み」を入れるようですが、この文句はどうでしょうか。私はちょっと違和感があるのですが。
多分、この文句に出てくる「愛」は、直江兼継が愛用していた兜の「愛」の前立からイメージしたのでしょう。この「愛」の前立の由来は二つの説が有り、一つは兼継の仁愛の精神を表しているという説、一つは愛宕権化(或いは愛染明王)の頭文字「愛」を取ったものである説です。どちらが正しいかは、ウエッブ上でも論議が盛んで、結論が出ていないようですが、二つに一つなら、私は後者の説に一票入れたいですね。
 そう思う理由は、いくら何でも生死を賭けた戦場で被る兜に、現代人が考えるような意味での「愛」という字を、戦国武将が入れるとは考えにくいからです。そもそもこの時代に、宣伝文句が意味するような、「愛」という概念が有ったかどうかさえ疑問です(特別な根拠はないのですが...)。何かで読んだのですが、謙信が毘沙門天の「毘」の字を旗印にしているので、兼継は愛宕権現の「愛」の字を前立に用いたと書いてありました。この説の出典も、信憑性が有るのか無いのか分かりませんが、愛民や仁愛、親子愛の「愛」が由来と言われるよりは信じたくなります。

 火坂雅志氏の本を読んでいないので「『愛』を信じた兼続の生き様」が、原作にもあるテーマなのかは知りませんが、これも何の史料がもとになっているのか知りたいですね。兼継が、民を愛して治世を行ったと言っている人もいますが、同じ様な善政をした戦国武将は他にも沢山いますから、兼継だけが特別とは思いません。
 私が直江兼継の事を知らなすぎるのかもしれませんが、この話に限らず、余りにも時代考証に飛躍があると、鼻白む思いがするのですが、皆さんは如何でしょうか。


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